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「自分を利して、他人も利する」

投稿者 fujimoto:2005年4月19日 18:16

「新しい哲学を語る」(梅原猛/稲盛和夫)読了。
もっとも興味深かった箇所は次の一節。
「宮沢賢治の父は浄土真宗のたいへん熱心な信者でした。
それなのに、賢治は真宗を捨てて、日蓮宗に入るようになります。
その理由というのが、真宗に入ることで自分は極楽浄土に行って救済されるけれど、
人を救済することが少ない。
そうではなく、自分の命を捨てても人を救済する精神こそが仏教だ
と考えて日蓮宗の信者になったのです。
しかしこの真宗批判は少し違うのです。
・・・・・浄土というと、念仏を唱えていたら極楽浄土行けるという
このことだけが真宗の思想のように考えられがちですが、
ただ行って終わりではないのです。
行ったあと、やがてまた現世に帰ってくるのです。
なぜ帰ってくるかというと、まだこの世に救われていない人たちがいるので、
彼らを救うために帰ってくるのです。
つまり念仏を唱えて、死後、極楽に行ってもそこでじっとしていてはいけないのです。
必ずこちらに帰ってこなければならないという考え方があるのです。
・・・・行っただけならば「自利」の思想、帰ってくることによって「利他」の思想となります。
この極楽浄土から苦しむ人を救うために帰ってきたという思想が大切です。」(梅原)

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