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2013年10月28日

学文路 四十九日

10月27日(日)
叔父の四十九日に参列のため、
妹と一緒に、南海高野線で、和歌山県橋本市学文路へ。
早朝出発、10時前着。
自宅で、法要。
通夜・葬儀の時にも驚いたのだが、
お坊さんがお経をあげると、多くの人が、小さく低く唱和する。
さすが、高野山の麓、弘法大師さんの本場だ。
法要の後、30人近く、山の上のお寺へ。
お墓に骨納め、その後、お寺で会食。
山上から俯瞰する、紀の川の悠然たる流れ、
両岸の山並みは、まさに、ふるさと原風景。
実は、かむろの対岸、橋本で、小学校三年まで暮らしていた。
半世紀以上昔のことだ。
帰り、お供え物に加えて、
叔母が栽培している柿を持って帰れというので、
もらったのだが、いやあ、重かった。

投稿者 fujimoto : 10:09

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2013年10月25日

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』読了

渡邊十絲子『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書)読了。
今の人は詩とはぐれていると、著者は言う。
私もその一人だ。
詩人である渡邊十絲子さんのことも知らなかった。
現代詩は難しい、だからこそ面白いんだ。
著者は、そう言って胸を張る。
詩と向き合って欲しい、格闘して欲しい、という思いが、
ストレートに伝わり、気持ち良い。
取り上げられている黒田喜夫、入沢康夫、
安東次男、川田絢音、井坂洋子といった詩人の詩も
どれも、とてもいい。★★★★
黒田喜夫の詩が、とても凄いので、
全文紹介する。

「毒虫飼育」

アパートの四畳半で
おふくろが変なことを始めた
おまえもやっと職につけたし三十年ぶりに蚕を飼うよ
それから青菜を刻んで笊に入れた
桑がないからね
だけど卵はとっておいたのだよ
おまえが生まれた年の晩秋蚕だよ
行李の底から砂粒のようなものをとりだして笊に入れ
その前に座りこんだ
おまえも職につけたし三十年ぶりに蚕を飼うよ
朝でかけるときみると
砂粒のようなものは微動もしなかったが
ほら じきに生まれるよ
夕方帰ってきてドアをあけると首をふりむけざま
ほら 生まれるとこだよ
ぼくは努めてやさしく
明日きっとうまくゆく今日は寝なさい
だがひとところに目をすえたまま
夜あかしするつもりらしい
ぼくは夢をみたその夜
七月の強烈な光に灼かれる代赭色の道
道の両側に渋色に燃えあがる桑木群を
桑の木から微かに音をひきながら無数に死んだ蚕が降っている
朝でかけるときのぞくと
砂粒のようなものは
よわく匂って腐敗をていしているらしいが
ほら今日誕生で忙しくなるよ
おまえ帰りに市場にまわって桑の葉を探してみておくれ
ぼくは歩いていて不意に脚がとまった
汚れた産業道路並木によりかかった
七十年生きて失くした一反歩の桑畑にまだ憑かれてるこれは何だ
白髪に包まれた小さな頭蓋のなかに開かれている土地は本当に幻か
この幻の土地にぼくの幻のトラクタアは走っていないのか
だが今夜はどこかの国のコルホーズの話でもして静かに眠らせよう
幻の蚕は運河に捨てよう
それでもぼくはこまつ菜の束を買って帰ったのだが
ドアの前でぎくりと想った
じじつ蚕が生まれてはしないか
波のような咀嚼音をたてて
痩せたおふくろの躰をいま喰いつくしているのではないか
ひととびにドアをあけたが
ふりむいたのは嬉しげに笑いかけてきた顔
ほら やっと生まれたよ
笊を抱いてよってきた
すでにこぼれた一寸ばかりの虫がてんてん座敷を這っている
尺取虫だ
いや土色の肌は似てるが脈動する背に生えている刺状のものが異様だ
三十年秘められて妄執の突然変異か
刺されたら半時間で絶命するという近東砂漠の植物に湧くジヒギドリに酷似している
触れたときの恐怖を想ってこわばったが
もういうべきだ
えたいしれない嗚咽をかんじながら
おかあさん革命は遠く去りました
革命は遠い砂漠の国だけです
この虫は蚕じゃない
この虫は見たこともない
だが嬉しげに笑う鬢のあたりに虫が這っている
肩にまつわって蠢いている
そのまま迫ってきて
革命ってなんだえ
またお前の夢が戻ってきたのかえ
それより早くその葉を刻んでおくれ
ぼくは無言で立ちつくし
それから足指に数匹の虫がとりつくのをかんじたが
脚は動かない
けいれんする両手で青菜をちぎりはじめた

投稿者 fujimoto : 13:20

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2013年10月23日

内田 樹・釈 徹宗「聖地巡礼 ビギニング」読了

内田 樹・釈 徹宗「聖地巡礼 ビギニング」(東京書籍)読了。      
内田樹・釈徹宗のコンビが、
日本人が失っている霊性を再生賦活すべく、
日本各地の「聖地」を旅する新シリーズ。
第1巻となる今回は、大阪の上町大地、
京都・蓮台野と鳥辺野、
奈良・飛鳥/三輪山と大神神社を訪ねる。
近々、大神神社を訪ねる予定もあり、読んだ。
それなりに面白かったが、
実は、番外編とも言える、
京都のALS(難病)の施設訪問の内容が、
一番迫力があった。★★★

投稿者 fujimoto : 20:09

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2013年10月21日

池上彰「池上彰の憲法入門 」読了

池上彰「池上彰の憲法入門 」(ちくまプリマ―新書) 読了。
憲法改正論議が高まっている。
憲法について、基本知識を学んでおこう、
というわけで、池上さんのお世話になる。
わかりやすかった。
驚くようなこともなかった。
まあ、基本知識はクリアしているということだろう。
★★★
あとは、自分の頭で考えなくてはならない。

投稿者 fujimoto : 10:30

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2013年10月10日

小林秀雄「考えるヒント」読了

小林秀雄「考えるヒント」(文春文庫)読了。
なぜ、いま、小林秀雄?
たまたま、事務所の本棚にあったから。
パラパラ読み出したら、結構面白く、読了。
「平家」が秀逸。
そうか、「平家物語」の魅力は、こんな風に伝えるのか。
解説が、江藤淳。重厚ですな。
★★★

投稿者 fujimoto : 22:30

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長谷川櫂「古池に蛙は飛びこんだか」読了

長谷川櫂「古池に蛙は飛びこんだか」(中公文庫)読了。
古池や蛙飛びこむ水のおと―蕉風開眼として名高いこの句は
「古池に」と一文字替えた途端、凡句となりはててしまう。
「や」というたった一文字によって、芭蕉はひとつの高みに到達し、
俳句は芸術となった。
なるほどなあ、と感心した。
古池以降の名句のとらえ方も、広がったように思う。
★★★
長谷川さんは、最近注目の人?
NHKの「100分de名著 奥の細道」にも出演している。

投稿者 fujimoto : 16:54

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